はじめに
もうすぐ確定申告の時期ですが、確定申告に「青色申告」と「白色申告」があることをご存じでしょうか?
ここではそんな確定申告の中で「青色申告」について詳しくご説明したいと思います。
これを読んでいただけば青色申告の全てが分かるはず!
きっと、今年の確定申告は怖いもんなし!ですよ。
青色申告とは
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告は白色申告に比べて、やや手間がかかるものの、税金面で有利な「青色申告の特典」が受けられるので、多くの個人事業主が「青色申告」を選択しています。
※白色申告については別記事にて解説しています。 続きを見る
これを読めば白色申告のすべてがわかる【確定申告完全ガイド】
ちなみに青色申告書の書き方(マニュアル)をスグに見たい方はこちらの記事の方が役立ちます。
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確定申告書B(第一表)の書き方と記入例【初心者でも大丈夫】
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確定申告書B(第二表)の書き方と記入例【初心者でも大丈夫】
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青色申告できる人
青色申告できる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある人で、納税地の所轄税務署長の承認を受けた人です。
・不動産所得
土地や建物などの不動産の貸付け、船舶や航空機の貸付けによる所得です。
・山林所得
山林をその取得日以後5年を経過した後に伐採して譲渡、またはそのまま譲渡したことによって得た所得です。
・事業所得
農業や漁業、製造業やサービス業、その他の事業などを通じて得た所得のうち、譲渡所得と山林所得を除いた所得です。
もちろん個人事業主だけではなく、サラリーマンやパートなどの給与所得者であっても、上記の所得があれば、青色申告の対象者となります。
青色申告に必要な帳簿書類
青色申告では、帳簿書類に業務に関する取引の内容を正規簿記の原則に従った複式簿記で記録しなければなりません。
また、確定申告の際には、貸借対照表と損益計算書を申告書に添付しなければなりません。
ただし、現金出納帳、買掛帳、売掛帳、固定資産台帳、経費帳の5種類の補助簿のみの簡易な記録の方法によることも認められています。
青色申告の注意点
青色申告を選択する際に以下の2点に注意してください。
事前申請が必要
青色申告を適用するためには事前の承認申請が必要です。
つまり、すぐに「青色申告をしたい」と思っても、適用することができないのです!
事前に申請する際の書類は「所得税の青色申告承認申請書」といいまして、国税庁のHPからダウンロードすることが出来ます。
なお申請書は必要事項を記入し、原則として、青色申告による確定申告を予定している年の3月15日までに書類を提出する必要があります。
例えば、2018年度分の確定申告(2019年2月18日~3月15日申告分)を青色申告で行ないたい場合には、2018年3月15日までに上記申請書を作成し、所轄の税務署に持参または郵送で提出しなければなりません。( 提出期限が土日祝日に該当する場合には、その翌日が期限となります。)
なお、青色申告しようとする年に新規開業した場合には、開業後2ヵ月以内に申請の手続きし、税務署に認められれば、青色申告が可能です。
保管義務
青色申告を選択した場合、関係書類を一定期間保管しておく義務があります。
保管方法については、基本的に紙媒体となりますが、事前に所轄の税務署から承認を得られれば、電子媒体での保管も可能です。
以下、保存期間ごとに保管しておくべき帳簿一覧です。なお、保存期間は、各年の確定申告期限の翌日から起算するルールとなっています。
保管期限7年の書類
仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、現金出納帳などの会計帳簿
損益計算書、貸借対照表、確定申告書などの決算関係書類
領収証、借用証、預金通帳などの現預金の取引等関係書類
保管期限5年の書類
・請求書、納品書、見積書、契約書など事業取引に関係する上記以外の書類
※青色申告はクラウド会計ソフトが簡単で便利です
青色申告の特典
青色申告者が受けられる特典は、大きく分けると以下の3種類になります。
・所得金額計算における特典
・純損失の繰越しと繰戻し
・更生および不服申し立て等での特典
それではそれぞれの特典について詳しく解説していきます。
所得金額計算における特典
青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、不動産所得または事業所得のある事業を営んでいる青色申告者で、複式簿記に則って記帳し、貸借対照表と損益計算書を併せて期限内に提出した場合には、最高65万円を総所得金額から控除することができる制度です。
複式簿記の利用をしていなくても、青色申告者の場合は、不動産所得、事業所得、山林所得から最高10万円を控除することができます。
例えば、あなたが何らかの事業をしていて年間の所得が400万円だったとしましょう。
特別控除を適用しない場合(白色申告)は、所得金額400万円に対する所得税(復興特別所得税を除く)は、37万2,500円です。
一方、特別控除を適用すると、課税所得から65万円控除した335万円に対して所得税を掛けることで24万2,500円となり、13万円もの差額となります。
青色事業専従者給与
次に青色申告専従者給与についてです。
所得税では配偶者や家族などに給料を支払っても経費として認められません。
ですが、青色申告の場合「青色事業専従者給与に関する届け出書」を提出すれば、15歳以上の家族に給料を支払っている場合経費として計上が可能になります。
個人事業主の方は売り上げが上がれば上がるほど税金の金額は上がるいっぽうですが、青色事業専従者給与の仕組みを活用して、家族の誰かに給料を払うことでお金を分散でき、支払うべき税金の額を抑えることができるのです。
ただし、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれませんのでご注意ください。
また、明らかに仕事をしていない家族に給料を支払っているのが分かれば、指導の対象になるため、きちんと説明できるようにしておくことや、証拠を用意しておくことも重要となります。
貸倒引当金
青色申告をしている個人事業主の方は、年末に残っている売掛金や貸付金などの売掛債権・金銭債権に対して、5.5%〔金融業の場合は3.3%〕の額を貸倒引当金繰入として必要経費に計上することができます。
例えば、個人事業では、取引先に商品やサービスを引き渡した際、その場では売上代金を受け取らないことがありますよね。
その場合、とりあえず請求書を取引先に渡して、後日その売上代金を振込などの方法で支払ってもらうことになります。
このような商取引で発生した売掛金(売掛債権)が、後日問題なく回収できれば良いのですが、取引先の会社が倒産することなどにより、売掛金を回収できなくなることがあります。
貸倒引当金とは、そのようなリスクに備えて、売掛債権や金銭債権の残高に対して一定額を引当金として計上できる仕組みです。
減価償却の特例
青色申告の場合、一括計上できる資産の額が30万円まで認められています(白色申告の場合10万円)。
たとえば、パソコンを購入し25万円だったとすると白色申告では認められませんが青色申告なら可能です。
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確定申告の減価償却【定率法と定額法】
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家事関連費の必要経費算入
家事上の経費に関連するもので、業務に必要であると明らかにされる部分を対象のやり取りについて記録を明確に残すことにより必要経費として計上できます。
白色申告の場合は家事関連費の主たる部分が業務での使用でないかぎり、経費として計上することは認められていません。
棚卸資産の低価法による評価の選択
棚卸資産の金額を算出するときは「残りの数量」に単価を乗じた数字を用います。このときに使用する単価の決め方にはいくつかの方法がありますが、通常は最終仕入原価法が採用されています。
一方、青色申告では棚卸資産の評価方法として、事前に税務署へ届出手続きを行うことで低価法を選択できます。
たとえば、原価と時価を比較した場合、差が生じている場合です。こういった場合には、低い方の価格を単価として選ぶことができるのです。
棚卸資産の評価額が少なくなれば、減少分が損益から減るということですから、課税対象額が減り、節税が期待できます。
純損失の繰越しと繰戻しでの特典
今年度の確定申告で赤字が発生した場合、その赤字分を翌年度から3年間繰越すことが可能で、黒字の年の所得から差し引けます。
また、前年度が黒字だった場合、今年度の純損失額を前年度分に繰戻して控除し、前年度分の所得税額の還付を受けることも可能です。
更生および不服申し立て等での特典
税務署から更生の通知があった場合で不服があるとき、青色申告者は、異議申し立てをするか、あるいは直接審査請求をするかを選べます。また、更正される場合は、帳簿調査に基づかない推計課税によって更正をうけることはなく、更正通知書にその更正理由が明記されています。
まとめ
青色申告についてさまざまな視点から詳しくご説明させていただきました。
意外とメリットが多いということをお分かりいただけましたか?
もうすぐ確定申告、青色申告か白色申告か迷われている方も多いでしょうが、これだけメリットがあればぜひ青色申告を選ぶべきですね。
ただ、青色申告できる人は決まっているので、ご自分が当てはまるかどうかをチェックしておいてくださいね!