はじめに
確定申告のシーズンがやってきました。
みなさんはもう準備がお済みですか?
確定申告とはご自分の所得を計算し申告するものです。
所得と一言で言ってもさまざまなものがあり、確定申告が必要な所得は次の10種類と決まっています。
給与所得、不動産所得、事業所得、利子所得、配当所得、山林所得、退職所得、一時所得、譲渡所得、雑所得。
この中でみなさんがもっとも馴染みのあるのは給与所得かと思いますが、ほとんどの会社員の方は所得は給与所得だけで会社が年末調整を行ってくれるので、確定申告の必要はありません。
ただ、会社員の方でも所有する物件を貸し出したりしていると、不動産所得が発生し確定申告しなければなりません。
ここではこういった家賃収入を確定申告する際、不動産所得か事業所得どちらになるのか…などについて解説していきます。
不動産所得とは
まず、不動産所得とはどういった所得なのかと言うと、土地や建物を貸したり、船舶や地上権などを貸し付けて得られるもののことで、不動産賃貸での収入からこれに関する必要経費を差し引いたものです。
ただ、この中で譲渡所得や事業所得に当てはまるものについては不動産所得として計上できません。
事業所得とは
事業所得とは製造業、漁業、農業、卸売業、小売業、サービス業などを営んでいる方の所得のことで、ほとんどの個人事業主はこの事業所得を得ているということになります。
不動産所得か事業所得かの判断基準
不動産により所得を得ている場合でも事業所得とみなされる場合があります。
では不動産所得か事業所得かの判断基準とはどこにあるのでしょうか?
事業かどうかというのは基本的に社会通念上事業規模かどうかによって実質的な判断をしますが、次の事例に該当していれば事業とみなされます。
アパートや貸間については貸与できる独立した室数が10室以上、
独立家屋についてはおおむね5棟以上ある場合。
事業所得のメリット
では、一般的に不動産所得より事業所得の方がさまざまなメリットがあると言われていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
貸倒損失を計上できる
また、家賃が滞納し回収不可能となった場合も貸倒損失として計上可能で、その年の必要経費となり節税対策になります。
事業規模なら賃貸料が回収不可能となった場合、貸し倒れ分を全額経費計上できますが、そうでない場合収入を計上した年にさかのぼり不動産所得を計算し直す必要があります。
損失を繰越しできる
さらに、経費や控除を差し引いた後結果的に不動産所得が赤字になった場合、繰越控除の適用が可能です。
その翌年から3年間にわたり不動産所得から赤字分を差し引くことができるのはありがたいですよね?
また、事業規模なら不動産を取り壊しなどで失っても全額経費計上できますが、そうでない場合不動産所得が赤字にならない部分までの経費計上となります。
たとえば、人災天災に関わらず被害を被った場合、被害の全額を経費計上でき、引ききった上でまだ損失がある場合は翌年以降3年間繰り越すことができます。
ですが、事業規模でない場合その年の不動産所得の金額が上限なので損失を繰り越すことができません。
65万円控除が適用される
また、事業規模だと認められれば、家賃収入から経費分を差し引くことができ、そこからさらに65万円の控除が可能です。
専従者給与控除が計上できる
さらに、さまざまな税法上の特典が受けられます。
この特典を使うことで所得を大幅に抑えることができ、結果的に支払う所得税を減らすことができます。
たとえば、家族に所有する物件の清掃をさせ、その報酬を給与として支払うことでそれを専従者給与控除として経費計上が可能です。
ただ、青色事業専従者給与を1円でももらっている人を扶養控除や配偶者控除の対象にはできないため、専従者給与を家族に支払う場合、それらの控除より大きな金額を支払わないとメリットがないということになります。
配偶者控除や扶養控除とのバランスを考えた上で、専従者給与を支払うかどうか決めることが大切です。
なお、業務の実態がないのに給与を支払っている場合は経費として認められない場合があるのでその点にも十分に気をつけ、実態が伴っているかどうかもおさえておきましょう。
では、ご自分の不動産所得が事業規模に当てはまらかった場合はどうすればいいのでしょうか?
それは青色申告を利用し10万円の特別控除を受ける、または白色申告を選択することになりますが、白色申告を選択した場合は収支報告書を添付する必要が出てきます。
いずれにしても、きちんと確定申告しておくことが重要です。
まとめ
最近では帳簿付けは保存が必要となっており、多少面倒ではあるものの、きちんと申告することでかなり節税効果が得られます。
ぜひ、きちんと確定申告していただき余計な税金を払わずに済むよう努めてくださいね!